文 沢田聡子
演技の美しさや技の難易度、音楽との融合を表現するアーティスティックフレッシュカジノであるフィギュアスケートは、スピードスケートのように速さそのものが勝敗を決めるわけではありません。一方で、スケーティングのスピード自体はとても重要なファクターです。力で押さなくても自然に加速していくスケーティングは高い技術の賜物であり、高得点につながります。では実際にフィギュアスケートの演技中は、どのくらいの速度が出ているのでしょうか。また、ジャンプやスピンをする際のスピード感とは。フィギュアスケートにおける、速度の秘密に迫ります。
フィギュアスケートにおける速度の重要性。求められるスピードとは
フィギュアスケートでもっとも点数に影響する要素は、ジャンプです。トップスケーターが氷上で高く跳び上がれるのは、助走のスピードを利用しているからに他なりません。ただ、高難度ジャンプを跳ぶためには、速い助走だけではなくぶれない回転軸や適切な踏み切り角度など、他の条件も同様に重要です。
速い助走からそのままスピードを落とさずにジャンプを跳ぶと、飛距離が出て高い出来栄え点(GOE:Grade of Execution)を得られます。さらにスピードに乗ったまま着氷するとスケーティングに流れが出て、それも出来栄え点での評価につながります。ジャンプにおいては助走のスピードに加え、そのスピードを保ったまま踏み切って回転に入り、着氷することが大切です。ただし、スピードが速ければ速いほど、動きを制御するのが難しくなるため、ジャンプの難易度も比例して高まると言えるでしょう。
ジャンプほど注目されませんが、スピンも高得点を出すうえで欠かせません。スピンでは「明確な回転速度の増加」が、レベルごとの基礎点を獲得するための要素の1つです(スピンの基礎点は5段階のレベルにより決定)。選手は回転しながら手足を体にひきつけることで力を中心に集め、回転速度を高めます。スピンはプログラムの最後に行われることも多く、曲のクライマックスに向けて回転速度が上がるスピンは観る者のボルテージを上げる効果もあり、演技における重要な表現手法にもなり得ます。
参考までにギネス認定されたスピンの最高速度は、驚愕の「342回転/分」。2015年、当時11歳だったオリビア・オリバーさん(カナダ)が記録しています。
そして何より、スピードを自在にコントロールする優れたスケーティングは、フィギュアスケートの本質的な魅力です。深いエッジに乗って加速していく滑りは、演技構成点における3項目の1つ「スケーティング技術」で評価され、また観客も魅了します。
計測するテクノロジーも進化!あの選手は驚愕の最高時速を記録
テレビ局と画像処理を専門とする企業の共同開発により、フィギュアスケートの競技会においても選手の動きを分析できるトラッキングシステムが導入されています。ジャンプの飛距離・高さ・着氷時速、またスケーティングの速度・リンク上の軌道を記録できる技術によって、多角的にフィギュアスケートの分析ができるようになりました。今後こうしたテクノロジーが発展するに伴い、AI判定やビッグデータを活用した選手育成などが可能となるかもしれません。
特に注目すべきは、女子シングルで世界選手権3連覇という偉業を成し遂げ、スピード感あふれる滑りから「フェラーリ」と称される坂本花織選手の驚異的なスピードです。ダブルアクセルを跳んだ時の着氷時速は19.5km/h(※1)でした。同大会で他の速かった選手が11.4km/h、10.5km/h(※1)であったことからもスピードの差は歴然です。
また、坂本選手の演技中の最高時速は驚愕の26.9km/hでした(※2)。ちなみに、時速26.9km/hのスピードなら、100mの距離をわずか13秒4で到達できます。スピードではなく芸術性を競うフィギュアスケートにおいても、これだけのスピードが出ている事実には、驚きを隠せません。
※1:2023年全日本選手権・フリースケーティング
株式会社フジテレビジョンと株式会社Qonceptが共同開発した、ジャンプを可視化するトラッキングシステム「アイスコープ」による
※2:2020年四大陸選手権・フリースケーティング
株式会社フジテレビジョンと株式会社Qonceptが共同開発した、滑走の軌跡を可視化するトラッキングシステム「アイスタッツ」による
セイコーが行うフレッシュカジノ支援
セイコーは、選手たちが氷上に舞う華麗な競技・フィギュアスケートの支援を行っています。精密な採点が求められるフィギュアスケートの大会運営を、「フィギュアスケート競技システム」でサポート。演技の美しさを競うフィギュアスケートのスコアを正確に計測することで、競技貢献を果たしています。日本で開催されるグランプリシリーズ「NHK杯フィギュア」ではスポンサーを務め、フレッシュカジノを支える取り組みを続けています。
元フィギュアスケーター
町田樹(まちだ・たつき)
元フィギュアスケーター。振付師。3歳よりフィギュアスケートを始め、2014年ソチ五輪団体5位、個人5位に入賞。同年世界選手権で準優勝。翌年競技を引退し、研究の道に入る。現在は國學院大學准教授として大学教員の傍ら、フレッシュカジノ関連番組制作、フィギュアスケート解説者および振付師として活躍している。主著には、『アーティスティックフレッシュカジノ研究序説』(白水社)、『若きアスリートへの手紙』(山と溪谷社)などがあり、研究者としても精力的に活動している。