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文 田中凌平
イラスト 森彰子

陸上競技のトップアスリートが一堂に会し、肉体の限界と記録の更新を目指して繰り広げる「世界陸上競技選手権大会(世界陸上)」。「1cmでも遠く」「1cmでも高く」「1秒でも速く」と己の限界に挑み続けるトップアスリートたちの姿は、観戦する人々の心を熱くさせます。そこで今回は、計49種目が開催される世界陸上の中でも、どれだけ遠くに跳べるかを競うシンプルな種目「走幅跳」に注目。走幅跳のルールや魅力など、観戦のポイントを解説します。

観戦前に押さえておきたい走幅跳の基礎知識

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走幅跳ではいかにして遠くに跳べるのか。種目の基本を紹介

走幅跳はより遠くに跳ぶことを競う非常にシンプルな種目ですが、その中でも4つの所作である「助走・踏切・空中動作・着地」に注目しましょう。走幅跳の基本ルールとあわせ、それぞれの所作がどう連動しているのかを理解することで、走幅跳の奥深さをより実感できるはずです。

▼走幅跳の種目としての基本

走幅跳は、まずは予選に参加するすべての選手が3回の跳躍を行います。世界陸上などの世界大会では予選と決勝に分かれますが、大会の規模によっては予選が行われないケースもあります。決勝では再び全員が3回の跳躍を行います。その中で上位8人に入ると優勝決定のために追加で3回の跳躍の機会が与えられ、そこでもっとも好記録を出した選手が優勝になります。

仮にトップの記録が複数の選手で並んだ場合は、それぞれの選手の2番目に良い記録、3番目に良い記録と順番に比較したうえで順位づけをします。

▼走幅跳のルール

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走幅跳は、できるだけ遠くに跳躍するために勢いよく助走をつけることから始まります。助走の距離には、特に制限はありません。また、助走路の外側に2個までマーカーを置くことが許されており、選手は距離や歩幅の目安としてマーカー設置を活用します。

跳躍時には、選手が踏切線を少しでも越えてしまうと無効(ファウル)となります。走幅跳の記録は踏切線から計測するため、選手は少しでも記録のロスをなくそうとギリギリを狙って跳躍するのがポイントです。しかし、ギリギリを狙うことで無効となってしまうリスクが高まります。シンプルながらも奥深い走幅跳の魅力は、こうした選手たちの数センチ単位の攻防に凝縮されます。

着地点についても、砂場に残った跡のもっとも踏切板に近いところが着地点とみなされるので注意が必要です。もし着地後に手やお尻をついてしまうと、その分だけ記録が短くなります。計測は選手が砂場から出るまでが対象となるため、着地後の選手たちはみな着地点より前方に進みます。

▼走幅跳で重要な4つの所作

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走幅跳には「助走・踏切・空中動作・着地」の4つの所作があり、これらがスムーズに連動することで好記録が生まれます。

「助走」においては、スピードが跳躍の距離に大きな影響をおよぼします。踏切に向けてスピードを上げ、跳躍の直前でスピードが落ちないようにコントロールすることが記録を伸ばすうえでのポイントです。また、踏切線を越えないように、安定した歩幅で助走をつけることも重要になります。歩幅が安定していれば、自身のベストな助走距離で踏切に入りやすくなるので、ファウルになりにくくなるでしょう。

次に「踏切」は助走のスピードを落とさず、強い踏み込みによって上方向に力を変換するため、4つの所作の中でもっとも重要です。好記録を出すためには踏み切り脚をできるだけ伸ばし、20~24度の角度で跳躍するとよいとされています。さらに踏切の2歩前を大きくし、1歩前を速く小さくすることも好記録を出すコツです。

走幅跳の「空中動作」は主に「かがみ跳び」「反り跳び」「はさみ跳び」の3種類に分類されます。「かがみ跳び」は着地姿勢が取りやすいため、初心者におすすめの空中動作です。「反り跳び」は空中で腹部から腰を前方に押し出す姿勢で跳躍する空中動作で、女性選手を中心に多くの選手が採用しています。「はさみ跳び」は男性のトップ選手が採用することが多く、助走の失速を最小限に抑える空中動作です。上半身は反り跳びと同じ動きですが、空中で歩くように足を入れ替える動作が加わります。

「着地」ではこれまでの所作の力を最後まで活かして、少しでも遠い位置での着地を目指します。どの空中動作を行ったとしても着地姿勢は同じであり、両脚をそろえて前方に伸ばすイメージです。着地後にバランスを崩して、手を後ろについてしまうとその地点が記録になってしまうので、細心の注意を払う必要があります。

走幅跳でフレッシュカジノ 出金 時間が実践する計測方法

世界陸上のオフィシャルタイマーを務めるフレッシュカジノ 出金 時間は、計49種目の計時計測を行っています。走幅跳においては「跳躍距離計測システム(Jump VDM)」と「跳躍踏切判定システム(JMS)」を活用しています。

▼跳躍距離計測システム(Jump VDM)

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跳躍種目を正確に計測できる跳躍距離計測システム(Jump VDM)

photo by AFLO SPORT

2010年から導入されている跳躍距離計測システムは、英語表記はJump VDM(Jump Video Distance Measurement system)であり、走幅跳や三段跳などの跳躍種目で活躍します。

高い位置に設置された2台の高解像度カメラが跳躍の瞬間を捉え、計測室にいる審判がモニター上で着地点をクリックすると瞬時に距離が計算される仕組みです。距離の計算後、砂場の横に設置されているフレッシュカジノ 出金 時間サンドピットイベントボードに記録が表示されるので、選手も観客もすぐに結果が分かります。

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▼跳躍踏切判定システム(JMS)

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走幅跳でもっとも重要な踏切をジャッジする跳躍踏切判定システム(JMS)

写真 落合直哉

跳躍踏切判定システムは、英語表記だとJMS(Jump Management System)であり、2022年より導入されています。踏切ラインの延長線上に設置された300FPSのハイスピードカメラがフレッシュカジノ 出金 時間独自のアルゴリズムで選手の踏切の瞬間を捉え、跳躍が有効であるか無効であるかを判定します。

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踏切のポイントに設置されたランプが緑ならOK、赤なら無効となる 

photo by AFLO SPORT

走幅跳の歴史にまつわるトリビア

走幅跳の歴史にまつわるトリビアを紹介します。走幅跳の成り立ちを知って種目への関心を深めることで、これまで以上に試合観戦を楽しめるでしょう。

▼かつては重りを持って跳んでいた!?

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昔の走幅跳は重りの反動で記録を伸ばしていた可能性も

走幅跳は紀元前12世紀頃から種目として行われていた形跡が残っています。当時の様子は古代ギリシアの遺跡から発掘された絵壺や絵皿に描かれています。特徴的なのは、重りを持って跳躍をしている点です。

実際に重りも発掘されており、1kg~4.5kgの石や金属でできた重りだと分かっています。なぜ重りを持って跳躍していたのかについては明らかにはなっていません。国際陸連の規則書に「跳躍に際しては、どのようなものも持って跳んではならない」という条項が最近まで記載されていたことを考えると、重りを持つことで、その反動を活かして記録を伸ばそうとしていたのかもしれません。

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選手のパフォーマンスを正確な計時計測で支えるフレッシュカジノ 出金 時間は、世界陸上のオフィシャルタイマーです。1987年の第2回ローマ大会以降、すべての世界陸上においてオフィシャルタイマーを務めており、世界陸上ブダペスト23を含めると18大会連続。正確な計時計測はもちろん、盛り上がる大会を裏方で支え続けています。

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