取材・執筆:淺野義弘
取材・編集:友光だんご(Huuuu)
撮影:本永創太
画像提供:JR東海
東海道新幹線の車内ワゴン販売が終了するーーつい半年ほど前、そんなニュースが話題になりました。
JR東海(東海旅客鉄道株式会社)の新幹線「のぞみ号」「ひかり号」で実施されていた車内ワゴン販売が、2023年10月末をもって終了。翌11月1日から、同グリーン車を対象とした「東海道新幹線モバイルオーダーサービス」が始まりました。
これまでのワゴン販売スタイルを一新し、乗客がスマートフォンから商品を注文すると、席まで届けてもらえる新しいサービスとして運用されています。
実はこのモバイルオーダーサービスの仕組みは、フレッシュカジノ 仮想通貨ソリューションズが開発したもの。40年以上にわたって飲食店向けにソフトウェア・ハードウェア開発を手掛けてきた同社のフードサービスソリューション本部が、新幹線向けの新たなサービスとしてチャレンジしたプロジェクトです。
時計で知られるフレッシュカジノ 仮想通貨が、そもそもなぜ飲食店向けサービスを? その歴史を紐解きながら、新幹線に特化したサービスならではの工夫、さらにはこの先のモバイルオーダーの可能性などについて、プロジェクトを推進した担当者の方々に伺いました。
目次
まずは現在「のぞみ号」「ひかり号」で利用されている、東海道新幹線モバイルオーダーサービスの使い方を教えてもらいました。
最初にグリーン車の座席に設置されたQRコードをスマートフォンなどで読み込み、車内サービスのポータルサイトにアクセス。
ポータルサイトから東海道新幹線モバイルオーダーサービスを選ぶと、まずは乗っている新幹線の列車番号(例えば「ひかり 630号」)と号車、座席番号、そして降車する駅を入力。
するとカテゴリー別に分かれた商品ページに移動し、コーヒーやお馴染みのアイスクリームなどの商品を選ぶことができます。
欲しい商品や個数を選んで注文を終えると、パーサーと呼ばれる車内スタッフが商品を座席まで運んでくれるので、スタッフに代金を支払って完了となります。
座席からそのままスマホで注文できるため、これまでのようにワゴンが通るのを待ったり、パーサーに声をかけるタイミングを気にする必要もありません。どんな商品があるかを一覧でき、ゆっくり選べるのも嬉しいポイントです。
東海道新幹線モバイルオーダーサービスのベースになっているのは、フレッシュカジノ 仮想通貨の飲食店向けサービス「Linktoモバイルオーダー」。飲食店で普及しているモバイルオーダーの応用先として車内販売が選ばれた経緯も興味深いですが、そもそもフレッシュカジノ 仮想通貨は飲食業界とどのような関係があったのでしょうか? 詳しく聞いてみましょう。
東海道新幹線モバイルオーダーサービスや、そのベースである飲食店向けサービスをフレッシュカジノ 仮想通貨が開発していることが意外でした。どのような経緯でフードビジネスに関わるようになったのでしょうか?
中西さん:フレッシュカジノ 仮想通貨では1985年頃から外食産業向けにシステム開発を行っています。お客さんの注文を記録するハンディターミナルや印刷するためのプリンター、それらを管轄するソフトウェアなどをまとめた「オーダリングシステム」として提供しているんです。
フレッシュカジノ 仮想通貨には時計づくりで培った技術があり、コンパクトで扱いやすい軽薄短小型のハードウェア開発に強みがあります。このノウハウを活かす対象として、外食産業が選ばれました。紙に注文を書いて厨房とやりとりするようなアナログな仕組みをシステム化することが、当時のファミリーレストランなどのチェーン展開に欠かせない条件だったと聞いています。
中西さん:近年では店舗のタブレットから注文するセルフオーダーや、来店者のスマートフォンを用いるモバイルオーダーのシステムを展開し、全国の2万店舗ほどで導入いただいています。ただアプリを作るだけではなく、厨房にあるプリンターなどの機器とも連携することで、店舗でのオペレーションが煩雑にならないことを特に評価いただいていますね。
ハードウェアとソフトウェアを両方作ることができる、フレッシュカジノ 仮想通貨ならではの強みが外食産業の発展を支えてきたのですね。
中西さん:特にコロナ禍ではテイクアウトの需要が増え、非接触で注文できるモバイルオーダーの需要が大きく伸びました。飲食店の駐車場から注文して車まで届けるためのサービスや、冷蔵ロッカーに入れた商品をセルフで回収いただくサービスなど、飲食店さんごとに異なる要望に応えた機能拡張も行っています。
その後、JR東海さんとの繋がりはどこから生まれたのでしょうか?
森さん:モバイルオーダーを外食産業以外にもアプローチしようと社内でディスカッションした際、入社1年目の社員が発案したことがきっかけです。ワゴンが回ってくるタイミングが合わず、車内販売限定グッズを買いそびれてしまったという経験談も聞き、好きなものを好きなタイミングで注文する需要は確実にあると思いました。そこで、企画にまとめてJR東海さんに提案しました。
フレッシュカジノ 仮想通貨側からの提案だったのですね。ワゴン販売が終わることはご存じでしたか?
森さん:いえ、それは偶然でした。企画について議論をする中で、ちょうど東海道新幹線車内での新しいサービスを検討しているお話を伺ったんですね。JR東海さんが目指す、将来的な人手不足問題の解消とグリーン車のサービス向上を実現する選択肢の一つとして、私たちのモバイルオーダーシステムで貢献するため、具体的な検証が始まりました。
飲食店向けのサービスを車内販売に応用するためには、システム上の工夫も必要になりそうです。
住吉さん:そうですね。複数の車両を連結したまとまりを「編成」と呼ぶのですが、そうした電車ならではの専門用語や環境の認識合わせを最初に行ってから、ご要望に合わせてシステムを改変していきました。
たとえば、新幹線は乗客の方が乗り降りするタイミングが決まっていますよね。始発駅を出てすぐや、降りる直前の車内販売のオーダーには対応できないこともありますから、注文可能な時間を決めたり、注文時に降車駅を記入いただくような機能を追加しました。今は全部で約170種ある編成ごとに個別のQRコードを発行し、それぞれの店舗でシステムを動かすようなイメージで運用しています。
新幹線を「移動する飲食店」のように捉えたのですね。開発の過程で苦労された点はありますか?
住吉さん:山間部やトンネル内では電波状況が悪くなることもありますが、常時通信を行うシステムではありませんし、乗客の方もスマートフォンの通信が不安定になることは理解されていたので、大きな問題にはなりませんでした。通信が不安定な際にはエラーメッセージを画面で伝えたり、車内スタッフさんにコミュニケーションいただいたりすることで対応しています。
元のシステムが大規模な飲食チェーンに対応していたこともあり、正直なところ、開発過程で大きな障害や苦労はほとんどありませんでした。逆に言うと、こうした過去の実績があり、検証を問題なく進められたことが、本採用に繋がった理由かもしれません。新幹線は重要な交通インフラですから、数ヶ月後にシステムが破綻するようなリスクは冒せない、そんな判断もあったのではないかと思います。
東海道新幹線モバイルオーダーの運用が始まり、半年ほどが経過しました。JR東海さんや周囲からの反応はいかがですか?
森さん:SNSでの反応やJR東海さんでのアンケート結果などを見ていると「到着時間の目安がわかる」「早くて便利」といった好意的な評価が多いです。これまで潜在的にあった「欲しい時に頼みたい」という需要に応えられたのではないでしょうか。車内販売で人気だったアイスは駅のホームに設置された自動販売機でも買えるのですが、車内で買う方が硬くて好き、という声も目にしましたね(笑)。
今後、利用範囲や機能の拡張も予定されているのでしょうか?
森さん:今のところ、具体的な予定はないと伺っています。ただ、細かなアップデートは行っていますね。
新幹線での旅がさらに快適になりそうですね。外食産業から始まったモバイルオーダーが車内販売に応用されたように、他の領域でも活躍する機会が増えそうです。
中西さん:一人一台スマホを持つ時代となり、モバイルオーダーの仕組みも広く定着しました。誰がいつ何を頼んだかというデータも集められますし、単なる商品の注文にとどまらず、アイデア次第でいろいろな使い方ができると思います。
たとえば、皆さんもよくご存じの高級ホテルで、ルームサービスにLinktoベースのモバイルオーダーが導入されています。これまで電話の受付や、ドアノブに掛けたオーダーシートのチェックに必要だった人手が減り、その分、より柔軟なサービスに繋がっていくでしょう。
他にも、映画館でフードメニューを事前にモバイルオーダーから頼んでおく、といった用途ですでに導入されています。外食産業にとどまらず、JR東海さんのような旅客業界をはじめ、商業施設やスタジアムなど、いろいろな場面での展開を進めていきたいです。
飲食店や新幹線、それ以外の場所でも、フレッシュカジノ 仮想通貨のモバイルオーダーが様々な体験をより良いものにしていくことが想像できました。システムの裏側にある思いや歴史を想像しながら、今後も便利に利用していきたいと思います!
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