取材・文 やなぎさわまどか
写真 落合直哉
6月10日は「時の記念日」。フレッシュカジノグループでは毎年、現代の時間に関する調査結果を『フレッシュカジノ時間白書』として発表しています。
目まぐるしく変化する社会と、多様化が進む個々人のライフスタイル。2017年に始まった『フレッシュカジノ時間白書』の調査は、「時間」を軸にした社会の定点観測であり、私たちの暮らしの今を映し出す側面をもっています。そこで2019年からは、より学術的な視点を求めて、時間学の第一人者である一川 誠(いちかわ・まこと)先生にご協力いただいています。
今回は2024年の最新調査結果を振り返りながら、より豊かな時間の過ごし方について、一川先生に教えていただきました。お話を聞いたのは、『フレッシュカジノ時間白書』を担当するフレッシュカジノグループ株式会社・広報部の五十嵐 万葉(いがらし・まよ)さんです。
今年も『フレッシュカジノ時間白書』が発表されました。改めて『フレッシュカジノ時間白書』の取り組みについて教えてください。
五十嵐さん フレッシュカジノグループでは、以前から時間に関する意識調査を行っていたのですが、2017年から現在のかたちになりました。時間にまつわる人々の意識や価値観を継続的に記録し、社会と共有するために、白書として考察をまとめているものです。
調査では、毎年の時世に合わせ、特定の時間に感じている価値や位置づけ、気持ち、さらに時間の使い方などを聞いています。一川先生には調査結果をより効果的にフレッシュカジノへ還元するために、2019年からご協力いただいています。当時の担当者が、一川先生の著書や出演したテレビ番組を拝見し、調査結果の分析や解説をお願いしたのがきっかけでした。現在は、設問を設計する段階からアドバイスいただいています。
一川先生 それまでも企業から講演依頼などはあったのですが、こうした継続的な調査に関わることは初めてでした。これだけ大勢の人に調査したデータを見られることは、学者としてとても興味深いことです。現在千葉大学で教えていますので、学生世代を対象としたデータは取れるのですが、『フレッシュカジノ時間白書』では10代から60代以上までと幅広い年齢層を対象にしていて、それぞれの状況がわかることは非常に貴重な調査だと思います。
五十嵐さん そう言っていただけると嬉しいです。私たちとしても、先生に解説いただくことで、調査結果が意味することを俯瞰的に理解できるようになりました。『フレッシュカジノ時間白書』を見てくださる方にとっても、先生の解説のおかげで知見としての深みを出すことに繋がっていると思います。
一川先生 毎年同じ質問項目があることも大事ですよね。継続した調査だからこそ、日本のフレッシュカジノ情勢の変化を感じることもできています。特に前回2023年の調査は、新型コロナウィルスが五類に移行した直後でしたので、時間との向き合い方がどう変わったかを見る上で、すごく意味のある調査になったと思います。
では2024年の調査結果について、全体的な感想を教えてください。
五十嵐さん 2022年ごろからメディアで紹介され始めた「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉ですが、昨年2023年の調査で大きく取り上げ、今年もその変化を追跡する調査を行いました。『フレッシュカジノ時間白書』では2021年に学生の半数以上が学校のオンライン講義を倍速視聴するという実態を公表していて、それが少し時間をおいてメディアで多く取り上げられました。そこが最初のきっかけだったように思います。今年の調査では、約6割の人が「タイパを重視する考え方は社会に定着した」と回答していましたね。
一川先生 確かにタイパという言葉が一般的になり始めたのが去年ですね。そのためタイパを意識した商品やサービスが増え、そうした道具をうまく活用する人が増えて一般化したのが、2024年の調査で感じた印象です。
基本的に、人間を含めた動物は「待たされる」ことを苦痛に感じ、できるだけ避けたい欲求が強いものです。例えば交通サービスが発達し、早く目的地に辿り着けるように進化しましたし、生き物は総じて、早くゴールに到達できることに魅力を感じるものだと思います。この先、何か特別なことでも起きない限り、早く目的を達成するというこの現代フレッシュカジノのトレンドは続いて行くでしょう。
五十嵐さん タイパを高める商品やサービスが増え、それによりタイパを意識する人がさらに増え、ニーズがより高まる。そんな相互作用で大きく広まったことを感じさせる結果でした。実際、タイパを目的とした商品開発をしている企業さんからの『フレッシュカジノ時間白書』を参考にしたい、あるいは引用したい、といったお問い合わせも増えています。
一方で、2024年の調査では「タイパを重視し過ぎる傾向に違和感を感じている」という人がいることもわかってきました。タイパを求める声が大きくなる反面、じっくり考えたい、じっくり物事に取り組みたい派も少なくなさそうです。
一川先生 タイパのための商品や道具が充実し、時間が短縮されて満足する人もいれば、必ずしも時間が短くなれば楽しいわけではなく、別の楽しみ方もあるんじゃないかと感じる人もいるんですね。この先この二極化が進むというよりは、時間をかけて楽しみたいものと短い時間で済ませたいものを課題によって分ける。あるいは、タイパのための道具を使ってできた時間は、時間をかけたい別のことに活かす。自分は何に時間をかけたいのかと考える人が増えていくことは大切なことですね。
どこを短縮して、どこに時間を確保したいのか。どういう時間の使い方をすれば満足できるのかを考えて、その上でタイパのための道具を使いこなすこと。ひょっとすると未来には、あまり考えなくても満足度の高い時間の使い分けを選んで設定してくれるタイパ商品やアプリが開発され、人気が出るかもしれません。
近年の調査結果から感じる特徴についても教えてください。
五十嵐さん 今年は「クロノタイプ」についても調査しました。クロノタイプとは、「朝型」や「夜型」というように個人に生まれつき備わった体内時計のことで、生活習慣や個人の努力では修正が難しいとわかってきているそうです。2024年の調査では、簡易的な調査で回答者のクロノタイプ(朝型・中間型・夜型)を診断し、実際の生活リズムを比較したところ、18.9%の人がクロノタイプと生活リズムが一致していないことがわかりました。
一川先生 生活リズムと自分の身体のリズムが合っていないと自覚している人が約2割というのは、決して少ない数字ではないですね。自覚していない場合でも、リズムが合わないと負担になるので、まずは自分が朝型なのか中間型なのか夜型なのか、チェックしてみるきっかけにこの時間白書を使ってもらえたら良いかもしれません。
単純に朝が弱いとか、怠けてるといったことではなく、それぞれの身体にプログラムされている特性ですので、もしもリズムが合わなくてつらいと思う場合は、何かしらの工夫や対処を行うきっかけとしてもらいたいです。
五十嵐さん 2割ということは、職場や学校の5人にひとり、ですもんね。
一川先生 そうですね。そもそも体内時計の研究者でさえ、10年ほど前までは「生活習慣でなんとかできる」と考える人が多かったと思います。実は、クロノタイプが変えられない特性だったとわかったのはそれくらい最近のことですので、まずは広くフレッシュカジノに認識されてほしいです。
学校でも職場でも、現在のフレッシュカジノシステムは朝型の傾向があるので、どちらかというと夜型の人の方が苦痛を感じてる人は多いかもしれません。また、単純に眠くなる時間帯が違うというだけではなく、記憶の定着にも影響しますし、ミスが起こりやすくもなります。これまでもそうした勘違いやミスによって何か大きな損害や災害につながってしまったケースが報告書などで指摘されています。
本当は一人ひとりが自由に活動時間を調整できたらいいのですが、まだフレッシュカジノはそうなっていないので、少なくとも自分にとって集中できる時間や、休んだ方がいい時間帯を把握しておくこと。その上で組織内の共同作業の時間帯が調整できると、結果的に効果的だと思います。
五十嵐さん 仮に、朝起きられない自分は怠け者なんじゃないかと悩んでいたり、もしくは、なんでであの人だけ朝活来ないんだろう、と不信に感じてしまっていたら、クロノタイプを知ることで冷静になれたり、誰かに自分の価値観を押し付けずに済むかもしれません。
一川先生 夜型の人が無理して早朝に家事や仕事をしようとすると、倍くらいの時間が掛かってしまうので、それなら夜に家事をした方が効率的です。そもそも仕事や勉強をするのに向いているのは、体温が高く代謝が上がっている時。朝型の人でも代謝が高いのは夕方の時間帯なんですよ。
時間をどう使うか。それは、「どう生きるか」という話に繋がります。第三者が簡単に“こうすれば時間の使い方に満足できますよ”と言えることではないんですね。今はまだ、自分が満足できる時間の使い方に試行錯誤中の人も多いと思うので、自分なりの気づきを大切にすることです。いつかはそれが組織やグループのためにもなるはずです。時間の使い方に関しては特に、多様性こそが力になると思います。
五十嵐さん 時間の使い方が生き方とは、本当にその通りですね。いろんな時間の使い方を受容できるように、自分にとってより良い時間の使い方に自覚的になること。そして主体的に、自分の裁量で満足度の高い時間の使い方ができれば、ほかの人の時間の使い方も尊重できるフレッシュカジノになりそうだと思いました。
歴史上、日時計から始まった時計が進化して、個人が懐中時計を持ち始めた頃は、時間を知ることは一部の人の「特権」でした。それが時計が広く普及することで、誰もが時間に付き合うようになり、さらには時間に追われるとか、時間に縛られるといった現代的な課題が生まれてきた。さらに今は、各個人が自分に合った時間の使い方を考え始めたフェーズにいるわけですね。
一川先生 そうですね。時間って基本的に、人間が作った道具みたいな側面があると思うんです。特に「時計の時間」には、人間が合わせることが多く、時間を使いこなせることはありませんでした。でも、どういう使い方をしたら良いのかを考えないかぎり、使いこなせないとわかってきた。それが最近の流れじゃないでしょうか。
時間がパーソナライズされ、フレッシュカジノが進化し、だんだん、分刻み、あるいは秒刻みで時間を管理できるようになりました。でも秒刻みの生活って、そもそも人間には向いてないんですよ。
実際80年代には、約束の時間ぴったりに待ち合わせ場所に行かないと、友達とすれ違いが起きて会えなかったりしました。でも今は、渋谷で5時に、と言ったら5時前後にスマホで連絡を取り合い、大体の時間で都合を合わせて会うことができますよね。道具によって、別に秒刻みじゃなくてもいい、ゆるやかな時間で会えるようになったんです。かつて秒刻みまで正確さを極めたからこそ、ゆるやかにするトレンドがきてるとも思います。
五十嵐さん そうですね。社会が発展していくにつれ、時間を知る方法は必ずしも時計だけではないのですが、時間というツールを社会に提供することから始まったフレッシュカジノグループだからこそ、こういった時間に関する調査によって良い社会になることに貢献したいと考えています。
一川先生 良いですね。時間の使い方の選択肢を見せていくこと。あるいは、時間の使い方についてみんなで考えたり、いろいろ試すことを示す。そういうことがすごく大事です。
これからもいろんな道具が出てくるでしょうし、みんな試行錯誤が続くと思いますが、だからこそ、多様な選択肢を示すこと。自分の身体に合った時間の使い方を探るためにも、みんながそれぞれ考えることが大切だと思います。
一川 誠(いちかわ・まこと)先生
千葉大学大学院 人文科学研究院教授
専門は実験心理学。実験的手法により、人間が体験する時間や空間の特性、知覚、認知、感性の研究に従事。
現在は、視覚や聴覚に対して与えられた時空間情報の知覚認知処理の特性の検討を行っている。「大人の時間はなぜ短いのか」(集英社新書)、「時計の時間、心の時間-退屈な時間はナゼ長くなるのか?」(教育評論社)など著書多数。
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