取材・文 やなぎさわまどか
写真 落合直哉
人材こそが会社の財(たから)。フレッシュカジノ 入金ボーナスグループでは、「多様な社員が働きがいをもって活き活きと働くためには、環境整備や制度設計の推進が不可欠」と考えています。
グループ横断での取り組みは、2013年度からの女性活躍推進に始まり、働き方改革やライフスタイルに合わせた多様な勤務形態の整備、さらには健康経営に至るまで、全ての社員の活躍を目指す全員活躍推進に進化しています。
女性活躍推進から全員活躍推進へと進化を遂げた背景には、どんな思いがあったのでしょうか。「全員活躍推進」のリアルな声をご紹介します。
全員活躍推進について教えてください。
千葉さん:始まりは服部CEOの一声でした。当社は元々、女性社員が多かったのですが、その割には、管理職における女性比率が若干低かったことを受けて「もっと女性が活躍できる環境づくりを」という意向です。2013年の第5次中期経営計画で、それまで5.3%だった女性管理職比率を3年で10%にすることを目標にして、女性活躍推進の取り組みがスタートしました。それ以来、グループ各社の垣根を超えて、人事担当だけでなくさまざまな部署から多様な立場の人がメンバーとなり、フレッシュカジノ 入金ボーナスグループ全体として取り組んでいます。
具体的にはどんなことから取り組み始めたのですか。
千葉さん:まず最初は、社内にどんな課題があるのかを把握するために、全社員を対象にしたアンケートを行いました。そこで、仕事と育児・介護の両立における課題や残業といった働き方、女性社員と管理職の意識改革、キャリア支援や人材育成の仕組みづくりといった、具体的な課題が見えてきました。
また課題の抽出と並行して、経営陣に向けたセミナーや講演会なども行いました。経営課題として女性の活躍を進めていくため、女性活躍推進の必要性の理解と、管理職と女性の双方の意識改革が重要だと考えたからです。
着実な取り組みの結果、2021年10月には女性管理職比率が13.5%に伸びていますね。
千葉さん:そうですね。ただ、この時の達成目標は15%にしていたので、実はちょっと足りていないんです。しかし当初から、数値ありきではなく実態をともなった取り組みとすべきとトップからのメッセージがありました。大切なことは、管理職を目指したい思いがある女性社員が機会を失わないこと。そのために、適切な人材育成やマネジメントを行い、意識のある人が自然と上を目指せる仕組みづくりが重要だと考えていました。13.5%という結果は、納得できる成果であると同時に、まだまだこれから先の課題があることも表していると思います。
女性の活躍を推進する取り組みが、全社員向けに変わったのはなぜですか。
千葉さん:問題は女性だけじゃない、ということを実感したためです。女性が活躍するためには、一緒に働く男性社員も無関係ではありませんし、そもそも女性にも男性にもいろんな状況の方がいます。育児や介護のために時短勤務や休業が必要なのは、女性だけではないという価値観も一般的になってきました。定年後の再雇用や、障がいを持った方の就労など、多様な人材が全て活躍してこその会社である、という考えから全社員を対象にした取り組みにしようと、2017年に名称を変更しました。
2022年4月から始まった第8次経営計画では、この全員活躍推進の実現があってこそ解決できる課題として、人材育成、ダイバーシティの推進、エンゲージメント向上など、採用やキャリア開発の領域も視野に入れ始めています。また社員が健康で活き活きと働くためにも健康経営の課題にも注力していく予定です。
全員活躍推進の取り組みによって、渡邉さんが実感される「働きやすさ」はどんなことですか。
渡邉さん:在宅勤務ですね。元々、育児と介護をしている社員など一部は在宅勤務が認められていましたが、それでも全社的になじんでいた働き方ではありませんでした。それがコロナ禍によって一気にインフラが整い、ひとり1台持ち帰れるPCが支給されたことは本当に助かっています。法務という仕事柄、オフィスアワーに会社にいる必要が出てくるのは主に会議参加であることが多く、逆に、海外との時差により夜間対応が必要なこともあります。セキュリティも重要な部署ですが、インフラ整備と合わせてペーパーレス化が進んだこともあり、最近は週2〜3日の出社、それ以外は在宅で仕事をしています。私だけではなく、同じ部の社員たちも同様に在宅勤務が増えました。
会社の制度を活用しながらも、管理職として気をつけていることはありますか。
渡邉さん:部署内の定例会議はオンラインが多くなり、必要なことは何も問題なく進行できますが、コミュニケーションが少なくなることを課題感として忘れないように意識しています。出社のタイミングを合わせたり、何か気になることがある時は声掛けをするといった工夫は必要だと感じます。
あと、男女に限らず誰であっても育児や介護、体調不良になることもあるので、できるだけワークシェアリングをしておけるように努めています。職場の中で誰かひとりだけしか把握していない業務は作らないように、なるべく仕事を見える化して、普段から誰かとカバーし合えるバディ制のようなかたちにすることが理想ですね。
千葉さんも何か、全員活躍推進の施策に関連するご自身の経験などはありますか。
千葉さん:自分が育児中の時を振り返ってみても、例えば子どもが体調不良から治りかけた時などに、今もう少しだけ休みが取れたら、とか、今日だけは在宅勤務できたらいいのに、なんて考えながら、できるだけパートナーと分担し合っていたことを思い出します。あの時はなかった在宅勤務やフレックスタイム勤務を、今後はもっと使いやすい仕組みにしていきたいです。
また社員のキャリア形成に関しても、将来どういうキャリアを歩みたいか、定期的に相談できるキャリア面談という取り組みも始めました。元々、育児を理由に退職する人は少ないのですが、育児に関わらず、自分のキャリアを前向きに考えたり、気持ちを後押しできるような制度や仕組みづくりを整えることも人事の役目だと考えています。
渡邉さん:キャリア面談については、社員のキャリアへの意識を把握できるので良いですね。管理職=責任が増えて大変、と思われがちですが、裁量が増えるというのは自分にとって融通が効くという良い面もあります。私自身、楽しく働いているところをなるべく見せたいです。
千葉さん:かつては管理職になる女性は何でもできるスーパーウーマン、というイメージもありましたよね。でも、いろんなタイプの管理職が増えていくことで、ああいう働き方いいな、とか、いつか自分もあんな風に働きたいな、とチャレンジしたくなる人が増えていってほしいです。
育休中でありながら、本日はご協力いただきありがとうございます。フレッシュカジノ 入金ボーナスグループでは女性社員の育児休暇取得100%に対し、男性社員はまだ年間に数人であることが課題だと聞きました。どんなところに壁があると思いますか。
菊地さん:ひとつは単純に認知度の問題だと思っています。育休制度は男女関係なく使える制度であるということ自体、あまり認識されていないと感じることがこれまでにもありました。あとは、人数が少ないなど職場ごとの都合だったり、前例が少なくてなかなか言い出しにくい、という心理面も大きいかもしれません。
実際私も上司に伝える際、言いにくさが全く無かったわけではありませんでした。ただ、妻の妊娠がわかった時から情報を集め、自分にとってのメリットとデメリットを考えた結果、申請する育休は1年と決めていましたし、幸い職場環境にも恵まれていて、普段から上司とのコミュニケーションが多く、相談しやすかったので助かりました。上司には半年前くらい余裕をもって相談したんですが、快く受け入れてもらえて嬉しかったです。
育休の申請に、どのようなメリットとデメリットを考えられましたか。
菊地さん:初めての子育てを、妻ひとりだけでするのは大変なことです。実際、最初の1ヶ月目など、赤ちゃんがなんで泣いてるのか分からないですし、いつぐずり出すかも分からない中、数時間おきの授乳もあって、自分の食事もままならなくなりました。赤ちゃんを置いてゆっくりお風呂に入ったり、美容院に行くことももちろんできません。3ヶ月を過ぎた今は娘もたくさん寝てくれるようになりましたが、大切な時期にそばにいて少しでもサポートできたことは、今後の家族関係のためにも良かったと思っています。何より自分自身にとっても、初めての育児経験という充実した時間を過ごさせてもらっています。
菊地さん:経済的なことについて、育休期間は無給ですが、雇用保険からの給付金と、児童手当や出産育児一時金があることがわかっていたので、経済的な不安はありませんでした。ただ、雇用保険の支給決定から実際の支給日まで時間が掛かることがあるとは聞いていたので、半年分くらいの生活費は事前に準備しておきました。外出や交際費がなく、また自治体の取り組みによって中学生までは医療費も無料ですし、家計の心配は特になく過ごすことができています。
またデメリットとして考えたのは、復帰後のキャリアや昇進、昇格に関してでした。妻と相談して育休延長はせず、1年で復職することに決めていますが、仕事のカンがすぐに戻るのだろうか、といったことを考えたりはします。ただそれはこれまで育休を取りながら仕事をしていた女性社員の方々も同じですよね。これまで先輩たちが子育てしながら働いてるのを近くで見ていたものの、いざ自分が経験してみたことで、この問題が自分ごとになったと感じています。
男性社員の長期育休取得をはじめ、社内の制度を活用する社員を増やすためにはどんな課題があるのでしょうか。また、それぞれの立場で心掛けていることなどがあれば教えてください。
千葉さん:育休などで誰かが長期的に職場を離れるとしても、同じ職場の上司、同僚の理解は重要だと思います。女性でも男性でも、産休や育休を取る社員には「いってらっしゃい」と笑顔で送り出せる風土や、現場をバックアップする体制を取ることが必要です。幸い産休や育休は事前に時期がわかりますので、みんなでカバーできる範囲なのか、もしくは派遣スタッフを増やしたり人事異動を行うのか、といったことを速やかに実施できるようにしたいと思います。
渡邉さん:法務部でも最近、男性社員が二十日間の育休を取得しました。人によって必要な期間はさまざまだと思いますが、送り出す方としては「取りたいだけ取ってください」とお伝えするようにしています。個人的には、1年間といっても20〜30年という長い職業人生の”たったの1年”でもあると思うので、かけがえのない時期の子育てを応援したいですね。育児に限らず介護や体調のことなど、人生における変化は誰にもあるものなので、いろんなことを組み込んだサステナブルな働き方へのニーズを感じています。
菊地さん:1年間の育休中だと話すと、身近にいる男性たちでも「自分も取れるなら取りたい」といった反応をする人がとても多いです。感覚的には8〜9割の人の本音だと思います。ちょうど2022年4月の法改正によって、会社側から育休の意向確認が行われることになるので、きっとこれからはもっと男性社員が長期的な育休を取るようになっていくのではないでしょうか。わたしたち和光は小売りの会社でもあり、女性も男性も、まさに全員の活躍が求められる職場です。いつか自分が管理職になった際には今回の経験を活かして、性別問わず働きやすい環境作りに努めたいと思っています。
千葉さん:全員活躍推進の取り組みが始まって10年近く。まだまだ人事の課題はたくさんあるなぁと感じるものの、大切なことは「活き活きと笑顔で働けること」だと感じています。私自身、長く働いて感じるこの会社の良いところは、いい人が多いこと。周りの人に支えられながら働き続けることができたと思っていますので、次の世代にもそういう会社の文化を繋いでいけるよう、一歩一歩、進めていきたいです。
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